玉蜀黍の食し方

 1.根元に近い方から一列ないし二列を先端に向け指先で丹念に毟り取る
 2.毟って凹んだ直線部分に対し隣列の実を親指で直角方向に倒す
   (こうすると親指長分の実がキレイに外れる)
 3.順次、喰う

この方法で食べると、あの、かぶりついた場合に多々起こる、歯列間に皮が挟まり何時までも「シーシー」と気にするという嫌な思いをしなくて済む。
ただ難点は、茹でトウモロコシ乃至『焼き』でもかなり実のシッカリしたものにしか使用できぬ方法である事と、1の段階で非常に時間が掛かり更に先端へと行程を進める毎に〝まばら〟になる為、どれが今自分の毟っている列か分からなくなる事である。 と、、
ここまで書いて、もうひとつ難点を発見したように思う。


立ち並ぶ夜店の屋台、流れる祭囃子、ダイナモの響き、子供たちは綿飴やフラッペのカップを手にはしゃぎ、橙色のひかりは行き交う人々の非日常的気分を煽り照らし出す。そんななか、浴衣美人と寄り添い歩く俺――


「あ、あれ食べたぁい」「ああ、たまにゃいいな」
「……何探してるの?」「坐るとこ」


……もし俺が女性ならば、こんなトウモロコシの喰い方をするような性格のヤツはゼッタイに御免だというコトだ