貧者の懺悔

普段どおりに煙草数個とチューハイ2缶をレジに持ってゆき、さて払おうと小銭入れを開けると中身がちょいとヤバかった。同居人のマイセンライトが余計だった。
うあ、足りっかなーと呟きながらアルミ貨まで数える情けなさに馴染みのT君が、、
「酒は…ムリでしょうから、HOPE一個諦めて下さい」
と、追い討ちをかけてくれた。「ケーサツ呼ぶのヤですからねぃ♪」などと嬉しげに。
てやんでぇ、オイラは生まれてこのかた人様のモンに手ぇ付けたコトは一度だってねぇやい!!……代わりにこのクスリじゃ駄目かなぁ、あ、ヨカッタ足りましたギリで。細かくてゴメンね〜〜。。
と、(プライドなんぞはとうに捨てたので)事なきを得て帰ってきたのだが、道々考えた。自問。


俺は誓って、人様の物に無断で手をつけたコトはナイ。若気の至りでの根性試し的万引きも、無い。
だがホントか? 本当に隠語でいうトコロの『ウカンムリ』をやらかした事は無いのか!?


……思い起こせば幼きみぎり、『ピーピー豆(からすの豌豆)』をあの、喰える豆で作れば誰よりデカい音が出るのではないかと考え近所の畑のエンドウ豆を軒並み毟ったのは俺だ。キャベツや白菜の中心には何が詰まっているのだろうという探究心から同じ畑で葉っぱを全て剥いたのも。両方バレなかったけど。
隣ん家のオバちゃんがこよなく愛する家庭菜園でスクスク育っていた『山芋』を掘り起こし、コンクリブロックですりおろした挙句に〝最強泥団子〟をこしらえたりもしたなぁ。同級生が飼っていたオタマジャクシを日干しにして「干しブドウだ」とか(コレらは流石に暴露し親がワビいれてましたが)。
高校時代はよく、クラブの先輩の財布を掏ってはそいつで昼飯喰ってた(当時の二つ名は〝スリの○○ちゃん〟&〝夜の○○ちゃん〟でした。必殺バイト人だったもんで)。まあジョークの内だと笑って許してくれるヒトたちばかりだったけれど、あんときは、ほんとにスミマセンした!
長じて公務員時代。
配属、最後の辺りは何の手違いか駐屯地司令付きだったので、しょっちゅう民間企業の方々が持っていらっしゃる手土産(主に菓子折り)をワタクシしてはWAC*1に配ってはセコい株上げを試みたり。そういや今ウチにある〝土鍋〟も官品だった。何故に自衛隊で土鍋なのかという疑問はさておき。


こうして過去を鑑みると、みみっちいながらもガキの悪戯だけでなく『税金ドロボー』までやらかしてるよ俺。どれもこれも〝食い物絡み〟なのが自身でも良くワカラんが。……とにかく反省。猛省だ。
デカい口を叩くものではない、どんなに卑小なハナシであっても事実を違えてはならない。これでは、もし息子が道を誤りナニかやらかした時に叱るどころではないではないか。こんなコトではいけない。半キ○ガイ・仮性ヒッキーのヨッパであれど、あのお天道様にだけは恥じる事無きように今日この、いまから、頭のネジをキッチリ締めなおして清廉潔白に生きてゆこうぞ――!! と、、


『K駐屯地航空部機体班』と書かれたプラ箱から精密ドライバを出して眼鏡のネジを締め直してみる。

*1:陸上婦人自衛官海上はWAVE、航空はWAF