こんなシンクロは御免だ

いつもの711が朝4時半に込んでいた。オモテにゃ観光バスが堂々と路駐。客はジジィばかりでツマラン。眼鏡使用の俺がサンコン並みの眼力を振り絞ってもガイドさんの姿すら見当たらぬ目的不明エコノミカルなバスツアーだ。
居並ぶオヤヂらは皆ゾロ、煙草にビールやチューハイ・サキイカや柿ピーなんかを抱えている。
「酒屋にも寄らないツアーなんかクソだよな」
と、長蛇のレジ列ブービー賞のジジィ(歳は俺の五割増くらい)が俺に振った。外ではバスの運ちゃんが赤いネクタイを緩め切り、俯いて煙草をふかしていた。吐いているのは煙か溜息かワカラナイ。(『先に用意しとけよ!!』)
曖昧に頷き返しながら俺はそっと列を離れ、財布の中身をフルスピードで計算しつつ持っていたモノを戻しワインの瓶に持ち替えた。煙草の種類以外はブービー親父と手にしたものがソックリ同じだったから――