黒い応酬

内容が余りにアレなんで…

バイト先で。
雇って三ヶ月程の配達のみの爺様がひとり、消えた。ある日を境にプツリと来なくなった。この回転早い業界では良くあるハナシなのだが、店のバイクごと消えられて経営者は困っている。爺様が溜め込んだ家賃&多種多様な借金すら大家に請求され、激怒していた。もちろんその方のウチに行ってみたそうな、専業(正社員)の若いモンが。
したらば、みすぼらしい借家の玄関は施錠すらされてない。行ってみた奴(23歳位・♂)は、、
「ひとりで死体発見者になるのはイヤだ」
と、店に帰って『ひと気が無かった』『いやにクサかった』コトのみ報告。よく有るんよ、新聞配達が死体発見とか火事通報とかまじで。んで、、
青木が原ばりに臨時死体捜索隊(笑)がその場で編成され、再びその家に向った。すると今度は何故か施錠されている(旧い機構により閉めた拍子に引っ掛かったものと思われ)。周囲の家屋門扉を叩き、最近の様相を訊き込む。数日前に複数人員の争い声が聞こえた事が発覚。それ以来、一切の物音がしなくなったらしい。事件性を疑う。――にわか刑事と化した新聞販売店員らは脳内に〝太陽に吼えろ〟のテーマが流れたかどうかは知らんが、風呂場の窓が開いているのをいいコトにそこから家屋内へと突入(住居不法侵入だよ;)。
なかは、いまにも食せんばかりの湯気立つ朝食の準備がなされ机の上にひらかれた冊子には「我妻……」。
ウソです。ただただコ汚かったそうです。こキタナイ、いや、相当なモンだったらしい。だから臭った。でも洗濯機には下着類が放り込まれたまま、生活の痕跡がありありと……現代の(かなり下級層だが)マリーセレスト号状態だったそうです。ふやけ切ったカップ麺とか。
こういった身寄り無い老人が数年後に〝カンピンタン〟(いち地方で言う乾燥しきった状態)で発見されるのかと思った次第。


ええと、これだけ書いて(読ませて)オチが無いのはどうでしょう?ダメでつか?


ただ、そのハナシを訊いて俺は「親類縁者が居ないなら一応捜索願くらいどーよ?」と今朝発言してはきましたが。経営者は「面倒事御免」とばかりに気乗りしてなさそうでした。付け加えて、、
「今頃国外旅行してるかもですよ、腹ン中軽〜くなってたりしてサ」とも云いましたが(テメェも非道いな)。
それに対し、「あんなジイサンの内臓なんてもう売れないでしょう」や「顔色酷かったから肝臓もアウトだわ」とか「眼鏡も買えないってボヤいてたから〝角膜〟すら駄目ね」などといった妙に嬉しげな女性陣の意見。うーわー
オンナって……現実的だって誉めりゃイイのか!?