ピンチⅡ

健忘症ゆえ何事も直前に云って欲しい。でも弔事(Hの遠縁の七回忌)出席をウチ出るリミット十五分前に言うのは止めて欲しかった。出来れば聞きたくなかった。それでも風呂入りスーツ着て出たのは我ながら上出来であり、ソレはピンチじゃない。ホントウのピンチは寺で起こった。赤の他人サマと合同祀でHの一族郎党だけが皆ゾロ平服だったのだ。平服ったってよー、限度があんじゃん。ドカジャン・作業服・ジーパンにピンク色のタートルだぜ? 礼服真っ黒ン中浮きまくりの衆目浴びまくり……。
焼香中もワライが止まんなくて唇噛み締めながら、まだ、こんな俺でも大丈夫だと思った